2014年1月28日
【熱帯の憂鬱 大人のためのENNUIの香り漂うエッセイ】(31)
■続・お母さん、お米を貸してください
長年の間、ビンボウ絵描きの兄から会社に電話が突然にあった。「銀座の資生堂のバーで待っている。出て来ないか?」ビンボウ絵描きの癖に相変わらずの洒落ものだな……赤茶系の微妙な色の、見るからに仕立てが良さそうなスーツの裏地は平安時代の牛車の絵か、または深紅かな、などと思い座ると「テツオ!金だ!」と言い、内ポケットや外ポケットから札束を次々と手品師の如く取り出すで...
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