【展望台】届けてくれてありがとう

　「ありがとうございます、おつかれさまです！」と配達員に労いの声をかけて扉を閉めると、一目散にリビングの机に向かう。机に置いた箱の隙間から漏れ出る湯気。開けた瞬間はまるで玉手箱。「いっただっきまーす」と呟きながらアツアツの8分の1ピースを手に取る。糸状に伸びるチーズの滝から流れ落ちそうなサラミに注意を払い、その鋭角を口に入れる。パン生地がサクッと音を立てて、トマトソースの味が口に広がる。あのジャン...