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2020年10月14日無料公開記事

【農水産物・食品輸出物流特集2020】 <#コロナに負けない> ~輸出ルートを確保せよ~

 「生鮮品の航空輸出は厳しい。加工食品の海上輸送は堅調だ」――。新型コロナウイルス感染拡大に伴う国際航空旅客定期便の大幅な減便・運休は、農水畜産物の航空輸出に影響を与えている。日本食の生鮮品と加工食品の輸出を手掛ける関係者は、航空スペース確保の難しさと航空貨物運賃高騰の厳しさを訴える。鮮度維持のため、スピードを重視する生鮮品の輸出手段を航空から海上に切り替えることは容易ではない。鮮度が落ちれば売価に響く。ドライ貨物とは異なる。
 国は農林水産物・食品の輸出拡大戦略を進め、2020年まで(19年実績)の輸出額目標として1兆円を掲げてきた。19年実績は前年比0.6%増の9121億円。今年4月には農林水産物・食品輸出本部を設置し、30年までの輸出額目標として、5兆円を打ち出した。ただ、新型コロナ禍で企業、社会活動は大きく変化。5兆円実現に向けて、輸出ルートを確保出来なければ、画餅に終わる。
 
 農林水産省は「異例の取り組み」(農水省食料産業局輸出プロジェクト室)で迅速に動く。20年度補正予算で「輸出力の維持・強化に向けたプロモーション・施設整備などへの重点支援」として156億9700万円を計上し、その中で、「輸出ルートの維持および確保」として20億円を計上した。国際航空旅客定期便の大幅な減便・運休に伴う生鮮品物流への影響を緩和し、輸送手段の確保を支援する。
 
 具体的には(1)航空貨物便の復便など支援対策(2)国内拠点空港への横持支援対策――がある。実施主体は食品等流通合理化促進機構。同予算は、豊洲市場で競り落とした商品を、羽田から香港に航空輸送することが難しくなったとの声を受け、業界へのヒアリングを踏まえて策定。日本航空が最初に羽田発香港向けで活用した。
 
 7月時点での利用は?が多かった。利用者は、航空会社では日航、ANA Cargo、キャセイパシフィック航空、香港貨運航空、香港航空、エバー航空、ZIPAIRなど。フォワーダーは、日本通運、フレッシュエアー、郵船ロジスティクス、インターナショナルエクスプレス、NAX JAPAN、OCS、日新など。国際旅客定期便で輸出していたフォワーダーを支援するもので、旅客機貨物便も活用されている。
 
 「いまや航空・空港業界は貨物事業が稼ぎ頭。環境が厳しい中、サポートを通じて、貨物事業を盛り上げていく」と空港関係者は語る。その一例として、新千歳空港の取り組みがある。DHLグローバルフォワーディングは6月から新千歳発香港向けで週3便、ホタテなど農水産物輸出のため、チャーター便を運航中だ。同スキームでは農水省の補正予算に加え、航空会社に対する北海道エアポートの補助も活用されている。
 
■巣ごもり消費で加工食品
 
 新型コロナ禍での輸出需要は、現地飲食店の営業時間や巣ごもり消費などの影響も受ける。感染拡大初期の春先、加工食品は日本国内での巣ごもり消費の急拡大に伴い、輸出用商品の確保が難しい状況だった。現在は安定的に海上輸送での輸出があるという。現地の巣ごもり消費がけん引しているようだ。
 
 農水省は21年度の概算要求として、農林水産物・食品の輸出力強化では、(1)グローバル産地づくりの強化(要求額36億円、20年度は5億円)(2)輸出本部の下での輸出先国の規制緩和・撤廃に向けた取り組みの強化、輸出手続きの円滑化(同32億円、同17億円)(3)輸出向けHACCP(食品衛生管理の国際基準)施設の整備(同79億円、同15億円)(4)戦略的なマーケティング活動の強化(同56億円、同28億円)――とした。
 
 (1)では農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)に基づき、効率的な輸出物流の実証などにも取り組む。国際航空旅客定期便の早期回復が見込まれない中、5兆円実現に向け、物流ルートをいかに確保し、構築できるか。新常態(ニューノーマル)への対応が求められる。
 
 
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大阪港 食輸出の実績さらに伸ばす
 
 大阪港は、食輸出の取扱量を年々着実に増加させており、さらに利用を促進させていく方針だ。
 
 2019年の大阪港からの農水産品などの外貿コンテナ取扱量は1万5591TEU(農水産品1745TEU、製造食品・飲料・水・食料工業品など1万3846TEU)だった。これは国が農水産品輸出に取り組み始めた13年実績と比べると1.8倍の増加だ。
 
 食輸出を促進するため、大阪港を仕出港とした海上冷凍混載輸送サービスを提供する物流事業者を認定。関西・食・輸出推進事業協同組合と阪神国際港湾会社が共同で実施している。認定事業者と主な仕向地は、上組大阪支店食品輸出室(香港向け)、日本通運大阪国際輸送支店(シンガポール向け)、日新関西支社(台北、香港向け)。また荷主に対するインセンティブも行っている。
 
 セミナーや展示会出展も積極的に実施。「第3回大阪港 食の輸出セミナー&商談会」(19年、大阪)は、関係官庁や団体などのほか、地元金融機関も参加するなど幅が広がってきている。商談210件(20年8月末時点)で、商談成立18件、商談中18件と前年よりも増加した。なお、今年は新型コロナウイルス感染拡大で、開催時期や方法は検討中だという。また、近畿農政局など主催した「GFPオンラインセミナー」(6月、大阪)で食輸出の取り組みを紹介した。
 
 海外では第16回「THAIFEX~World of Food Asia~」(19年、バンコク)に参加。商談129件(20年6月末時点)で、商談成立5件、商談中4件。国内は「第3回日本の食品 輸出EXPO」(19年、東京)に参加し、商談200件(同時点)、商談成立8件、商談中42件とそれぞれ実績を積み上げている。
 
 大阪港物流事業者検索サイト「らくらく海運」も運営。大阪港を利用して輸出入したい荷主が、輸送手配できる物流事業者を簡単に検索でき、必要に応じて問い合わせメールを一括送信できるサイトだ。
 
 このほか、団体活動として、「近畿地域農林水産物等輸出促進協議会」(事務局=近畿農政局)、「食品輸出促進地域商社連絡協議会」(事務局=ITADAKIMASU FINE FOOD)に、大阪市港湾局、阪神国際港湾会社、大阪港埠頭会社が参画している。
 
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航空会社・空港・地域が連携し販路拡大
 
 航空輸送は迅速な輸送で生産地と世界各地の消費地を結び付けている。航空輸送サービスを提供するためには、空港における貨物取り扱い体制の充実が不可欠だ。空港機能の拡充とともに、航空会社や空港、関係自治体、経済界などが連携して販路拡大に取り組む動きも活発になっている。
 
 
北九州空港 貨物定期便を生かして集貨促進
 
 北九州空港は、九州と本州をつなぐ最高の立地だ。海上空港で24時間離発着が可能という特長も生かし「九州・西中国の物流拠点空港」を目指して集貨・路線誘致を強化。2018年6月にはANA Cargoが、19年11月には大韓航空の貨物定期便が就航。深夜早朝アジア着の超高速物流を実現するANA Cargo、仁川をハブにアジア最大の貨物機ネットワークを有する大韓航空それぞれの強みを活かし、18、19年度と国際航空貨物取扱量が2年連続で過去最高を更新した。
 
 輸出は九州一円から鮮魚を中心に集貨が進み、あまおうに代表される季節性のある生鮮品も着実に実績を伸ばしている。大韓航空が今年5月より仁川と北九州を往復する路線を就航したことで生鮮品の輸入も開始された。北九州空港の活性化に取り組む「北九州空港利用促進協議会」は北九州空港直接搬入ルート構築事業の適用を昨年度に開始。同制度は、北九州市に拠点を置くジェネックの太刀浦上屋と福岡トランスの苅田物流センターを協議会の認定保税上屋とし、輸出許可を受ける前の貨物(内貨)を搬入する事業者などに1キロ20円を助成するもの。
 
 「両上屋とも北九州空港の近郊に立地している。生鮮品を含む直搬体制のニーズに応えスピーディーな物流を実現するため、直接搬入ルートの定着を図りたい」(北九州市港湾空港局空港企画課)としている。西中国・四国も背後圏として、生鮮品の商圏をさらに拡大する意向だ。
 
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中部国際空港 オンライン商談会開催、酒輸出も
 
 中部国際空港、地元自治体や経済団体などが組織する、中部国際空港利用促進協議会(以下、利促協)は今年11月、新たな取り組みとして、海外バイヤーとのオンライン商談会を開催する。台湾の大手食品輸入者、美福国際と、東海3県(愛知、岐阜、三重県)の生産者、輸出者とのマッチングが目的だ。比較的高価な海産物、牛肉、日本酒などがターゲットで、チャイナ エアライン運航便で輸送されるものにつき、サンプル品出荷にかかる輸送費の一部、もしくは全額を、利促協が負担する。
 
 中部発着便の優先利用を拡大させる、利促協の「フライ・セントレア・カーゴ(FCC)事業」では今期も、農水産物、食品などを取り扱う市場と中部空港間のトラック1台当たり5000円を支援する「卸売市場輸出拠点化促進プラン」を継続。今年も3社が適用された(4~6月実績)。また、同空港を積極的に活用する「拠点化・ビジネスモデル構築支援」でも、中部空港を利用する「食」の輸出者を支援する。
 
 品目も広がってきた。2019年度には政府支援のもと、FCCパートナー企業による日本酒輸出の実証実験が行われた。ポーラーエアカーゴの貨物便で、今年2月に日本酒17銘柄、3月にクラフトビール3銘柄が上海に輸送された。酒類ではさまざまな証明書類が必要とされる。時間のかかりがちな現地の輸入通関体制をいかに迅速化し、商品の破損や品質劣化を防ぐかが焦点だった。輸送試験は2回とも成功。風味の劣化などもなく輸送できることが証明された。
 
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セイノーロジックス 初の冷凍混載で博多発温度帯拡大
 
 セイノーロジックスは、同社初となるLCL(海上混載)の冷凍混載を開始した。マイナス20度で海上輸送する「ばりひえ混載」サービスで、8月に博多出し香港向けをスタートした。9月頭現在、九州発の冷凍LCLサービスは同社のみという。博多受けでは7月に定温7度の冷蔵混載「ひんやり混載」サービスを開始し、博多発LCLの温度帯を拡大した格好だ。
 
 冷蔵のひんやり混載は、主に日本酒や調味料、菓子類、加工食品などをターゲットとし、昨年11月にマカオ向け輸出が解禁されて香港向けの需要が強まっているという、鶏卵なども輸送できる。冷凍のばりひえ混載は、冷凍の和牛・魚・食品関係などで問い合わせを受けている。
 
 同社は福岡の代理店にベイトレック社を起用している。以前は自社で営業所を構えていたが、同社に福岡を中心とする九州地区の営業代理を委託した。セイノーロジは、博多港香椎浜ふ頭にある協和冷蔵の物流センターを冷凍・冷蔵品のCFSとし、マイナス20度と7度のスペースを抑えている。ベイトレックは協和冷蔵の施設内に入居している。
 
 九州発の冷凍LCL貨物は一般的に、神戸港までの横持ちか、混載でなく少量でもリーファーコンテナのFCL(フルコンテナ)の利用、または航空便で輸出されるが、ばりひえ混載は博多から香港まで直行で少量貨物を運べるため、適正スペースでコストを下げた輸送を可能にする。
 
 西日本地区を管轄する同社大阪支店の南裕次支店長兼営業統括・混載輸送部長は「博多発の冷蔵・冷凍混載サービスを一番の目玉として、営業活動を行っている。(コロナ禍で)営業社員は半分出社、半分在宅の体制のため、オンラインや電話などで顧客とのコミュニケーションに努めている」と話す。食品関連は、通関手続き時に複雑な業務が発生することがあるが、「福岡のCFSは検疫も対応できる。牛肉は、香港の代理店から輸入者に必要書類の準備ができているか確認を取ったうえで手配するなどしている」(大阪支店の神野博行混載輸送部営業課長)とし、丁寧な体制を確立している。
 
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NAX JAPAN 見通し精度高め、スペース確保に尽力
 
 NAX JAPANはこれまで培ってきた生鮮輸出のノウハウやネットワークにより、いち早い情報収集・共有を図ることで、スペースが大きく縮小している現在の航空輸送マーケットに対応している。生産者・食品商社だけでなく、現地バイヤーとの関係を生かして情報を集め、精度の高い需要見通しを航空会社と共有することでスペースを確保し、輸出者のニーズに応える。
 
 新型コロナウイルスの感染がグローバルに広がった3~5月ごろは同社も食品輸出の取り扱いを減らしたが、香港や東南アジア向けを中心に徐々に取り扱いが回復している。巣ごもり消費の拡大でスーパーなど小売向けは堅調に推移しており、今後もスペース不足が見込まれることから、安定した輸送力の維持・確保が優先事項になるという。北澤貴弘シニアマネージャーは「常日頃から輸出荷主の意向、動向をヒアリングすることに注力し、短期の見通しだけでなく、長期的に物量が拡大するかどうかのストーリーを航空会社と共有し、航空会社との関係強化も図っている」と話している。
 
 航空スペース縮小に加えて世界各地の飲食業の不振で需要が減退する一方、同社の冷凍品などの海上輸出は、2017年に海上輸送の拠点として設置した平和島センター(東京都大田区)の稼働が好調だ。「航空輸送のスピードを海上輸送に適用するというコンセプトで運営している。入庫から数日ですぐにバン積めして出荷するというスキームで止めない物流を提供し、顧客からの評価を得ている」(北澤シニアマネージャー)という。
 
 同社としては21年度にも開業が予定されている成田新市場にも期待を寄せる。同社は同市場にフォワーダーとして入居する予定。通関センターの機能も想定して業務の効率化を図るほか、食品のeコマース(EC)輸送に対応する機能も設けるなど、食の輸出入基地として各種準備を進めていく意向だ。
 
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南日本運輸倉庫 「DENBA」輸出連携、“面白いことを”
 
 関東一円でチルド・フローズンの食品物流を手掛ける南日本運輸倉庫(本社=東京都中野区、大園圭一郎代表取締役社長)は、食品輸出を手掛けるフォワーダーなどに対し、国内物流で一貫サービスの提供を目指している。
 
 同社は1975年創業。チルド・フローズン食品輸送のエキスパートとして、経営理念に「一番おいしい状態でお届けします」を掲げる。特色のあるグループ15社が連携して事業を展開中だ。グループ全体の売上高は約350億円。国際関連では、冷凍総合物流事業を展開する昭和冷凍(本社=静岡県静岡市、大塩誠代表取締役社長)が輸入通関、保管、流通加工、納品を手掛けるほか、保税蔵置場も運営している。一部、輸出も取り扱う。
 
 南日本運輸倉庫は今年7月、鮮度保持装置メーカーのDENBA(本社=東京都千代田区、後藤錦隆代表取締役)と次世代コールドチェーンの実現に向け提携すると発表した。鮮度保持技術の「DENBA」は高電圧・弱電流を流し、水分子を活性化。鮮度保持期間の延長や冷凍・解凍時における品質への影響を最小限に抑えるもの。両者は今後、合弁会社を設立。輸出も含め、生鮮食品のサプライチェーン・ソリューション・サービスを提供していく。
 
 DENBAとの提携を生かし、海上リーファーコンテナでの輸出機会も模索していく。DENBAは昨年7月、中国のコンテナメーカー大手であるCIMC揚州通利と業務提携契約を締結。20フィート型リーファーコンテナを開発している。南日本運輸倉庫には食品メーカーから打診があるなど、積極的に食品輸出関連の案件に取り組む。
 
 南日本運輸倉庫グループは将来ビジョンで、2030年に売上高1000億円を目指す。国際関連にも積極的に取り組む方針。M&A(企業の合併・買収)も視野に入れており、東南アジアなど海外のコールドチェーン事情も注視する。人材関連では9月15日、ベトナム・ハノイに物流人材育成を主軸とした合弁会社設立で合意したと発表。大園社長は、「おもしろいことをやっているね、と思われる企業を目指す」として、新たな領域に積極的に取り組む。
 
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日本通運 ネットワーク、輸送力生かし輸出者支援
 
 日本通運は昨年11月に航空事業支店内に食品輸送に関するプロジェクトチーム(PT)を組織し、食品の取り扱い拡大に取り組んでいる。現在は新型コロナウイルスの影響から航空貨物スペースが大きく縮小しているが、PTが中心となって国内外のネットワークや輸送力を生かしながら、各地の連携を図り、生鮮食品を輸出する生産者や商社等の事業維持・拡大をサポートしている。
 
 同社では2017年に食品物流サービスのブランド「日通フード・ロジスティクス」を立ち上げるなど、食品分野の拡大の一環として輸出案件の獲得・拡大を進めてきた。航空事業支店では、各地域で培ったノウハウの活用、情報・業務連携を進めるため、PTを組織し、陸海空の各モードを組み合わせたソリューション提案を行っている。
 
 コロナ禍で同社の航空輸出は大きな影響を受けて取り扱いを減らしたが、生鮮品はドライほどの落ち込みには至っていないという。上記のPT担当は「香港など食料自給率が低い地域向けで需要が底堅いほか、顧客ニーズも変化しており、そこに対応して取り扱いの維持・拡大を図っている」と話す。同担当によると、世界各地の巣ごもり消費の拡大でスーパーなど小売向けの需要が増加して安価な輸送が求められる一方、航空貨物のスペース縮小で少量多頻度の輸送や便のある首都圏や関西への集約など既存の輸送ルートとは異なる対応が求められているという。
 
 従来以上にドライ貨物輸送との連携を図って航空会社と交渉し、安定かつできる限り安価な輸送スペースの確保に努めるほか、PTが中心となり各地の輸出者のニーズに対応している。「産地に近い空港から輸出していたものが出せなくなったという問い合わせも多い。全国の拠点、輸送網を利用・提供して代替案も提供することで、新しい案件を獲得したケースもある」という。
 
 同社グループの日通商事では、このほど高鮮度保持機能付きリーファーコンテナ「fresh bank」の販売を開始。グループの各種機能も生かして、航空輸送だけでなく様々なニーズへの対応も図っていく。
 
 
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【TOPICS】
 
農水畜産物輸出航空実績<上半期>
航空減便で成田、関西に集中
 
 財務省貿易統計を基に主に航空輸送で輸出される農水畜産物の2020年上半期(1~6月)の各空港税関官署別実績をみると一部品目は、国際線便数が残る成田、関西に集中したようだ。ブリは取扱量首位の福岡が半減する一方、羽田、成田、関西が大幅に増えた。
 
 イチゴの輸出量合計は前年同期比1.0%増の758トン。例年、輸出量は中国の春節(旧正月)向けが最も多い。前年同期は、暖冬で出荷のタイミングが合わず、23.0%減の750トンと大きく落ち込んでいたが、大幅な反動増とならなかった。空港別では関西が23.3%増の407トン、福岡が23.4%増の199トン。一方、羽田、成田、仙台、中部、那覇は大きく落ち込んだ。港別をみると、横浜と大阪で取り扱い実績があったが、東京、神戸、博多は大幅減だった。
 
 新型コロナウイルス感染拡大に伴う国際航空旅客定期便の大幅な減便・運休が、農水畜産物の輸出利用空港に影響を与えているようだ。
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